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不動産鑑定士の専業は守られているのか?

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先日、ある勉強会に参加致しました。

講師はある弁護士の先生で、テーマは相続における「限定承認」。

内容の一部は、その弁護士の先生の実際に携わった案件に基づいた限定承認の問題点などで実践的で大変参考になりました。

ただ・・・不動産鑑定士の立場として一つ気になったことが・・・

限定承認を行った際に発生する「みなし譲渡所得税」について

この「みなし譲渡所得税」は当該資産の取得額と相続開始時の時価との差額に課せられる税金ですが、相続開始時の時価はどのようにして算定しているのか?とのある不動産鑑定士の方の質問に対し・・・

弁護士先生曰く、「本来は不動産鑑定士に評価して戴くのが筋なのでしょうが、費用が高くつくので、複数の宅建業者に査定してもらった価格を参考にし、税理士の先生との間で決めました。」とのこと。

そして、この弁護士先生の見解では、限定承認は、負の遺産が積極的な遺産を上回るが、先祖代々からの不動産等で、どうしても手放せない遺産が存在する場合等の特殊なケース意外には採用すべきではないとのことでした。

つまり、借金は多いけど、不動産は手放したくないと云うようなケースの場合に有効と仰るのです。

と云うことは、その時価を査定する宅建業者は、売買のためでも仲介のためでもないのに価格査定を行っていることになります。

これは我々不動産鑑定士の専業の分野を犯すことになるのではないかと思うのですが如何でしょうか?

これは氷山の一角に過ぎず、裁判所で日々行われている不動産に関わる案件の多くは、費用が安いと云うことで宅建業者による価格査定で済まされているケースが多いようです。

弁護士も裁判所(特に調停の席では)も、問題の中で不動産の価格が取り上げられた際には、不動産屋さんに査定してもらって下さいと奨めているのが通常のようです。

「不動産の鑑定評価に関する法律」では、その第2条で、不動産の鑑定評価とは「不動産(土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利をいう。以下同じ。)の経済価値を判定し、その結果を価額に表示すること」となっています。

と云うことは、一般的に「鑑定評価」「価格査定」「意見価格」などと云われているものは全てこの法律の「鑑定評価」の範疇にあるものと考えられます。

これに伴い、我々不動産鑑定士及び不動産鑑定業者が発行する「鑑定評価書」「調査報告書」「意見書」なるものは、その名称に拘わらず、ガイドラインによって価格を表示するもの全てに一定の要件が課せられ、署名押印することとされていますが、不動産鑑定業者以外の不動産業者が作成する「査定書」等には何の制限もありません。

また、同法第33条には「不動産鑑定業者の登録を受けない者は、不動産鑑定業を営んではならない。」とあり、罰則規定として第56条に「次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」とあり、その二に「第三十三条の規定に違反して、不動産鑑定業を営んだ者」とあります。

不動産鑑定士の立場としては、この「不動産鑑定業」の定義をキチンと整理しておく必要があるのではないでしょうか?

宅地建物取引業者が、「自ら売買を行う場合」や、「仲介を行う場合」以外に、報酬を得て価格査定することは不動産鑑定業に該当するのか否か?

これからの若手不動産鑑定士のためにも、法曹界(裁判所、弁護士会等)を交えて、不動産鑑定士協会として取り組む必要があると思うのですが・・・

現在の「不動産鑑定ガイドライン」は、不動産鑑定士が自らの規制を厳しくしているのみで、我々の専業の範囲をキチンと確保することには寄与していないと思うのですが如何でしょうか?

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